教育子育て九条の会
ニュースNo.11(2011年12月20日) pdf版はこちら270kb

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 守れ 子どものいのちと人権! 見つめよう、歩みだそう  3・11後の教育と憲法
第4回全国交流集会・東京集会 ひらく


12月3日(土)東京・明治大学にて、第4回全国交流集会を開きました。集会は、子育てや教育、憲法に関わる様々な分 野から48人の方に呼びかけ人になっていただき、実行委員会の話しあいに基づき、準備をすすめてきました。 東京をはじめ、北海道、岩手、秋田、宮城、福島、富山、新潟、長野、群馬、埼玉、千葉、神奈川、静岡、岐阜、 愛知、三重、和歌山、滋賀、京都、大阪、兵庫、山口、佐賀の各県の教職員や 父母、学生・高校生、市民団体や労働組合、地域・分野の九条の会などから、 約190人の参加がありました。
[オープニング]
東京高校生平和ゼミナールの高校生が、4月に宮城県塩竃市、 10月に岩手県の大槌町でボランティアに参加した経験を語り、 続いて長崎や沖縄の全国高校生平和集会の様子を報告しました。 「長崎では、講師が原発の被害の深刻さについて『未来に希望は 無い』と語っていたが、希望はこれから探していけばいいのではな いか。核兵器も世論の力で少しずつ廃絶に向かっているし、原発もい つかは無くすことができると思います」と発言し、暖かい拍手に包まれました。
実行委員長の斎藤貴男さん、九条の会事務局長の小森陽一さん の開会挨拶に続き、被災地から特別報告。

[特別発言]
宮城から  内海正之さん(宮城教職員組合、石巻市在住)
娘の通う小学校も津波で7名の子どもの命が奪われました。 全員、津波が来る前に保護者に引き取られた子どもたちです。 4月下旬に石巻市の学校は随時再開されましが、現在、14の 小中学校の校舎が使用できない状況で、近くの学校に間借りしたり、 仮設校舎で学習しています。子どもたちは一見、元気を取り戻したようでも 、心の奥底に恐怖と不安を抱えています。それぞれの地域の実情をしっかりと把 握し、子どもたちが落ち着いた環境で学ぶことができるように、校舎建築を早急に 進めてほしいと強く思います。教員の加配措置を来年度も継続するよう国に働きか けています。これからも息の長い支援をよろしくお願いします。
福島から   野口時子さん、根本淑栄さん
「安全・安心・アクションin郡山」という主婦たちの集まりです。 除染は行政がやるべきだと思いますが、町内会長・PTA会長にお任せ。 汚泥の一時保管場所の選定がズサンで、公園やスポーツ広場に埋められており、 子どもたちが余計な被曝をしないかと不安です。 9月末、「食品による内部被曝を軽減させるための請願」が郡山市議会で一部 採択され、2箇所の給食センターに食品放射線測定器の導入が決まりましたが、 入るのは来年2月。 県内の会議で、農家から「風評被害の加害者・敵は目の前にいる」と言われ ました。地元の分裂が生まれています。子どもを守らなければならないので、 また署名活動をします。
[シンポジウム]
 「見つめよう 歩みだそう 3・11後の教育と憲法」
●新しい社会にむけて「人間力の回復」を   暉峻淑子さん(経済学者)
私は敗戦後、9条のある平和な国をつくることが、犠牲になった人たち への私たちの義務だと思いました。 今度の原発事故では、おごりと「安全神話」で地方自治や民主主義を壊し、 人の生活や心まで植民地化してしまうことに対して、「人間力の回復」を追求し、 本来の人間らしい社会を再建したい。それしか原発の犠牲者に報いる方法はないのだ、 と強く思います。 私はユーゴスラビアの難民支援を続けてきましたが、福島の原発の話を聞いて、 ユーゴからドライフルーツが送られてきたので、板橋区の共同作業所に頼んでお菓 子に焼いてもらい、福島の子どもたちの誕生会に配りました。子どもたちは大喜びで 、作業所の障害者も「役に立てうれしい」と喜んでくれました。人と人とをつなぎ 、私たちが持っている人間の本性を復活させて新しい社会をつくっていきたい、と 思います。
●何に向かってがんばるのか    斎藤貴男さん(ジャーナリスト)
 「がんばろう日本!」「日本がひとつのチームなんです」…という言葉があふれています。 どういう方向に向かって頑張るのか、だんだんはっきりしてきました。 経団連の「復興・創生マスタープラン」は、 東北の復興についての記載はわずかなもので、新成長戦略のさらなる追求、 TPPへの参加、消費税増税など、この期におよんでも経済成長だけを考えています。 一方、3・11で米軍と自衛隊の「トモダチ作戦」というのが出てきた。 沖縄はもちろん、首都圏でも米軍と自衛隊の一体化がすすみ、 「アメリカが戦争を始めたら、日本も一緒にやらなければおかしい」 という状況になっている。 歯どめは唯一、憲法九条2項の「国の交戦権は、これを認めない」という、これだけです。 戦争や大災害などで人びとが混乱し悩んでいる時に、 それに乗じて大資本がこれを儲けの機会にしようとねらう 「惨事便乗型資本主義」と、小泉流の新自由主義をすすめていけば、 ますます格差は広がり、TPPで農業と漁業は壊滅的な打撃を受け、 消費税引き上げで自営業者はつぶされ、弱い人がいじめられる。 不満が街中にあふれ、戦争になる。失業者のために軍隊が必要になる… アメリカのような状態に、日本は向かおうとしているのではないか。 そのための教育が…。愛国心はもとより、 「ゆとり教育」をはじめ「できんものはできんままで結構」とばかり、 積極的に格差を広げるための教育がすすめられているといえます。
●子どもたちの思いにこたえる学習の質を      田中孝彦さん(教育学者)
震災発生時6年生だった子どもの手紙を読むと、 津波の恐ろしい光景を見て大きな衝撃を受け ながらも、子どもたちを誘導する教師の的確な行動をしっかり見つめています。 そしてこれから 何を大事にし、どういう人と一緒に生きていったらよいかを考えたがっている、 と思います。 また家族で福島から避難したある高校3年生は、 福島にとどまっている友人との関係を絶たれ、 「今回の原発事故で、人と人との間に大きな溝がたくさん出来た。 原発は人の心までも奪う。」と苦しんでいます。 おとなは、子どもたちのケアを考えなければいけないと同時に、 この子たちの思いをしっかり受けとめ、それにふさわしい学習の 質を学校や社会がどうつくりだしていくかが問われています。 「惨事便乗型資本主義」と「惨事便乗型政治」というものもはっ きりしてきました。そういう「復興」の動きをどう見るか、 どうくいとめるか、が問われている局面でもあると思います。 子どもたちや私たちが人間らしく生きていける社会、地域、 学校をつくりだしていくために、憲法が持っている意味をも う一度見直していくことが課題であり、この集会の趣旨でもあります。

[リレートーク]
 子どもをめぐるさまざまな分野から (詳細は記録集に掲載します)
★育鵬社を採択された横浜のたたかい            田崎秀一郎さん(横浜教科書採択連絡
   ★「君が代」強制の都立高校の現場について             小笠原至玄さん(都立高校教員)
   ★大阪・堺の教育基本条例             山田憲司さん(堺九条を守り生かす会 事務局長)
    ★もっといきいき教育したいー教職員の「へとへと調査」  小峰順子さん(都教組世田谷支部 副委員長)
  ★子ども・子育て新システムとは            木村宏子さん(東京自治労連保育部会 部会長)
★私学助成金運動に参加して考えたこと            浅生鷹也さん(大東学園高校卒業生)
★子どもたちに忍び寄る“口腔崩壊”             田腰輝幸さん(九条の会・医療者の会)
   ★品川区「教育改革」下の子どもの様子と “子どもの幸せと憲法を語る集い”
   土岐延子さん(子どもと教育九条の会・品川 事務局)  
      ☆会場から ・教育内容のゆがみに抗する運動を            鎌倉博さん(和光学園校長)
・「こころとからだの学習裁判」について       横尾澄子さん(障害児学校教員)
・草の根の九条運動の組織化について     森田博さん(前橋市・四中地区九条の会)
 

 ◆子育て、教育の願いと憲法を結ぶ ブックレット 『いのち、学び、そして9条』

 
    佐藤学、田中孝彦、小森陽一、教育子育て九条の会 編著

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