教育子育て九条の会
ニュースNo. 8(2010年9月17日) pdf版はこちら270kb

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 子どものこと 真剣に考え、語りあい、元気が出た 〜 第3回全国交流集会inみやぎ 〜
12月11日(土)仙台にて、第3回全国交流集会が開かれ 270名余が参加しました。地元宮城県をはじめ、 北海道、青森、岩手、山形、福島、長野、群馬 、埼玉、東京、愛知、 大阪、滋賀、山口の各県 から、教職員や父母・市民が集いました。 小学校6年生の子どもたちの躍動感に充ちた 『はねこ踊り』で開幕。会場は明るくなごやかな 雰囲気に包まれました。 上原公子さん(呼びかけ人)が開会挨拶し、「新 しい政権は混乱を重ねているが、子どもたちととも にへいわな世の中を迎えたい。そのためにも大切な憲法 。先日亡くなった呼びかけ人の槙枝元文さんのご冥福を 祈り ながら“どうすれば、みんなで力をあわせること ができるのか”を考え、とりくみ を広げていきたい」 と述べました。 中森孜郎さん(現地実行委員会代表)は「戦争の反省の 上に憲法と教育基本法が生まれた。教育基本法は改悪さ れたが、大江健三郎さんの『心に教育基本法を』という 言葉を大切にしていきたい。子どもは受動的な存在では なく、自ら生き学ぼうとし、基本的人権と幸福を求める 主体者。今日が、子育て・教育に希望と確信を持て、九 条の会の運動に新しい地平を開く会になることを願いま す」と挨拶しました。

 リレートーク ―― 子どもをめぐる様々な分野から
・保護者の生活が厳しく、8〜12時間の長時間保育の子どももいる。 新制度による保育の市場化、最低基準の廃止、公的負担の縮小と 保護者負担の増加に反対し、保護者に呼びかけ反対運動を広げて いる。11月には、全国で300万筆の署名を集め、東京で集会・パレー ドと国会に請願した。(小幡幸拓さん・保育士)
・児童58人職員12人の小さな小学校でオペレッタを創作。 人事異動で8人もの教師が代わってしまったが、新しいメン バーで頑張り大成功。能力があってもバラバラな集団より、 「子どもを高めたい一心で力をあわせる教師集団」の方がはる かにいい、「こんな学校もあるよ」とお伝えしたい。(高橋研 一さん・小学校教員)
・農業高校では就職内定率2割。大学進学に切り替えるのもむず かしい。親が失業し、子どもも就職できない、貧困の連鎖が続い ていく。「きちんと採用せよ」「職業訓練を保障せよ」「第一次 産業を再建すべき」と訴えたい。学校では「社会は変わるもの。 みんなで変えていこう」と話している。(高橋正行さん・高校教員)
・支援学校の高等部はプレハブ校舎で、図書室もなく、校庭は 50m直線コースもとれない。昨年は保護者と一緒に「増設を求 める会」を立ち上げ、3万2000筆の署名を集めた。障害児教育は 、本来少人数で行き届いた教育が大切。憲法と障害者権利条約を 生かせる教育をめざしている。(堀亨さん・特別支援学校教員)
・子どものことを考えてくれて嬉しい。林光さんの講演を聴き、 それぞれの違いを大切にし「自分だけの憲法」を持ちたいと思っ た。たかが髪の毛を切るかどうかも、自分のことは自分で判断し たい。「意見を持たない学生」と言われたら、「自分だけの憲法を 創っているところ」と言いたい。自分をつらぬく芯を育てたい。お となが“問題あり”とする教育の受け手はこんなことを思っている。(杉田千鶴子さん・高校1年生)
・町村合併で市になり、教育委員会は「学校教育環境検討委員会」 を設置し、小学校を29 校から12校に、中学校を10校から7校にし、 小中一貫校や中高一貫校をつくるという。「教育を考える市民の会」 で統廃合反対、少人数学級のとりくみをすすめている。(鈴木健三さ ん・ゆきとどいた教育をすすめる栗原市民の会)
・最近は、子どもの事件を警察がすぐ発表してしまい退学に なる例が多い。また、虐待を受けた子どもを保護したくても 施設がいっぱい。自分で考え生きていこうとする最低限の力 が育っていない、育つチャンスを与えられていない子どもに も目を向けてほしい。子どもにも「国選の付き添い人」を、 また「子どもの意見の代理人」制度を法制化したい。(花島 伸行さん・仙台弁護士会子どもの権利委員長)
・家庭文庫はミラクルワールド。赤ちゃんから小中学生、お じいさん、おばあさんまでいて暖かく“超アナログ的な空間”。 私も「だいちゃん文庫」をはじめた。虐待を受け施設に入ってい る女の子が来ていたが、おとなになり「おばちゃん、結婚したよ、 子どももいるよ。幸せ。絵本は今も読んでるよ」と電話をくれた。 文庫活動は究極の“おせっかいおばさん”だが、ずっと続けていきた い。(佐々木博美さん・だいちゃん文庫)
・戦前の教育は、戦争に行くことを止められなかった。今また 教育の権利が奪われているなかで、どうするかと、現職教職員と退 職者が一緒に九条の会をつくった。これまでにニュースを43号発行 し様々な活動をしている。来年は教科書採択の年、がんばろうと思 っている。(川崎宏さん・さいたま市教育九条の会)

 シンポジウム  『生かそう憲法! 子どもが幸せに育ち会える社会を』
湯澤直美さん(「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク共同代表、立教大学)が問題提起。 「子どもの14.2%、300万人が貧困、一人親世帯では57.3%に及ぶ。しかし、子どもがいじめられないようにと親は必死で無理をする。風俗店などに若者が吸い込まれていく。自己責任論。こういう中で“貧困が見えにくい”。貧困が連鎖し、不利が連鎖し“不利の雪だるま”になってしまう。見ようとしなければ見えないものをどう見ていくか、解決に向けて政治的な意志と同時におとな社会の意志が必要」と力を込めました。  田中孝彦さん(呼びかけ人、武庫川女子大学)は、昨年の全国交流集会(大阪)での高校生の発言などを紹介し、「悩み考えながら成長する子どもを支えるおとなの新しい共同をさぐること、憲法の諸権利を子どもの権利として読むことの必要」を語りました。また、「子どもの権利の視点から教師の専門性を問い直し、Teacher(教える人)から Educator(育てる人)への教師像の転換が必要ではないか」と提起しました。 小森陽一さん(「九条の会」事務局長、東京大学)は、「子どもの貧困をとらえ直すかたちで憲法を読み直し、実践する時ではないか」と述べ、大阪での2児放置死事件について、暉峻淑子さんが「私なら直接窓を割って部屋に入り、子どもを救い出す」と述べていることに触れて、「ここに憲法の思想がある、子どもの権利を実現するためにおとなの責任がある。私たちは、それぞれの地域でどのような実践をしていくのか、お互いに確認しあおう」と呼びかけました。 会場から三上満さんが「4年生の教室に『教室とはまちがうことでいっそう賢くなるという、不思議なことがおこるところです』と書いてあった。こういう穏やかなやさしさで包まれる世の中を」と発言。また、みやぎ教育文化研究センターの千葉建夫さんは「学ぶ時の子どもの顔は感動的。よい文化に出会い、自分の世界を豊かに広げていく体験が大切。子どもと向きあい授業研究を大切に」と述べました。

佐藤学事務局長が今後の活動について紹介したあと、集会アピールを採択。
呼びかけ人の堀尾輝久さんのリードで「ねがい」(広島の中学生たちがつくった平和のうた)を参加者全員で合唱し、静かな感動と新たな決意を胸に集会を閉じました。

 全国の皆さんからお寄せいただいたカンパと集会当日のカンパにより、充実した集会を成功させることができました。ありがとうございました。


 <教育子育て九条の会のブックレット 『いのち、学び、そして9条』 >

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 ★お知らせ

第4回 連続学習会を2011年6月10日(金)夜、会場は東京都内。  講師:香山リカさん(精神科医)  詳細は、追ってニュースでお知らせします。